歯とお口の豆知識

お口のケア

口臭の原因は?歯科での対応方法と治療例

「丁寧に歯磨きを行っていても、息のにおいが気になる」

「自分では口の臭いはよくわからないが相手に不快感を与えていないか」

と口臭についてお悩みの方は少なくありません。

 

口臭にはお口の中の由来の口臭と、全身疾患の兆候として現れる口臭(糖尿病・尿毒症・肝硬変・肝癌等由来)があり、口臭の大半はお口の中から発生します。
そのため、私達が直接みなさんのお口の状況を確認することにより、口臭の原因がわかり、治療方針をたてて処置したり、ご自身でできるお手入れのご提案ができることもあります。

今回は当院でよく見られる口臭の原因、実際の改善策についてご紹介いたします。

口臭を引き起こす口腔内の疾患

お口の中で特定の疾患が進行すると、口臭を引き起こすことがあります。

代表的な3つの疾患を以下にあげます。

原因1:歯周病

歯を支える骨や歯肉が徐々に壊されていく歯周病は、口臭の大きな要因の一つです。歯周病菌が産生する「メチルメルカプタン」は、硫黄のようなにおいを放ち、よく「腐った玉ねぎ」にたとえられます。ご本人はに気づきにくいため、周囲の人に指摘されて初めて意識する方もいらっしゃいます。

原因2:むし歯

むし歯は口の中にいる細菌が食べ物や飲み物の糖分を餌にして作り出した酸によって歯質が溶けていく状態です。細菌が神経付近まで達すると、血管や神経の腐敗が起こり、強いにおいを生じるケースがあります。最初はしみる程度でも、放置すると膿がたまって痛みや口臭につながります。

原因3:口腔カンジダ症

お口の粘膜や入れ歯の表面に真菌(カビ)が増殖する病気です。カンジダ・アルビカンスが主要な原因で、粘膜の抵抗力が下がっている方や入れ歯を長時間つけたままにしている方に発症しやすいといわれます。不衛生な環境が続くほど、においが強くなる傾向があります。

 

病気以外が原因の口臭もある?

歯や歯ぐきのトラブル以外で息のにおいが強まる場面もあります。生理的な現象や食事の習慣、あるいは思い込みなど、人によって要因はさまざまです。その場合、病気とは違う角度から口臭を考える必要が生じてきます。

生理的口臭

起床直後や空腹時、緊張を感じる時などに強まるにおいです。唾液の分泌量が減るとお口の中が乾きやすくなり、細菌が増えやすくなってしまいます。水分補給や鼻呼吸を意識するのも良いと思います。

食品や嗜好品による口臭

ネギやニンニクなどの食材に加え、コーヒー、お酒、タバコといった嗜好品も口臭を促す要素です。時間がたてば薄れていきますが、習慣的に摂取している方は気になる場面が増えるかもしれません。

口腔衛生不良

歯垢や歯石、舌苔(ぜったい)などが蓄積するとと、細菌の温床になり、、口臭につながります。丁寧に汚れを取り除いているつもりでも、磨き残しに気づかないケースは多々見られます。

心理的口臭

実際にはあまりにおわないのに、「自分の息が不快ではないか」と思い込みすぎてしまう状況です。周囲に確認してもらったり、歯科医師に診察してもらったりすると安心感が得られます。

 

歯医者ではどんな治療をするの?

 

口臭の原因が歯周病やむし歯などにある場合、歯科医院での対処が大きな効果をもたらします。まずはお口の状態をチェックし、必要に応じて治療やセルフケアを続けていきましょう。

歯周病治療

歯周病に対しては、歯石や歯垢の除去が基本的な手段です。歯周ポケットが深いときは、歯肉を切開して内部を洗浄する処置を選択する場合があります。歯周病菌が減ると、特有のにおいも少なくなります。

むし歯治療

むし歯部分を削って詰め物を行います。むし歯の細菌によって神経まで侵されている場合は根管治療が必要です。根管治療では、腐敗した神経組織や膿などの感染源を除去し、根管内部を洗浄・消毒した上で、封鎖します。適切にむし歯治療が終了すれば、においの元はなくなりまます。

口腔カンジダ症の治療

抗真菌薬によるうがいや塗り薬、内服薬でカンジダ菌の増殖を抑えます。入れ歯の清掃が不十分な状況では、形状や適合を見直す必要があるかもしれません。菌の繁殖を抑えられれば、独特のにおいも緩和します。

ブラッシング指導とクリーニング

舌苔や歯垢が目立たなくても、磨き残しがあると口臭の原因になり得ます。歯科医師・歯科衛生士による正しいブラッシング指導により日々のセルフケアの質も向上させましょう。また、定期的に歯科医院でクリーニングを行い、通常のブラッシングだけでは落としきれない汚れを取り除くことで、口臭リスクを大幅に軽減できます。

歯科医院以外の治療が必要な場合

口臭の約9割は口腔内が関連しているといわれます。
一方で、糖尿病や副鼻腔炎、逆流性食道炎といった全身状態が影響しているケースも考えられます。歯科治療を行っても変化が乏しいときは、内科や耳鼻咽喉科などの受診をご提案するケースもあります。

まとめ

口臭の原因は、口腔内由来のものとして、歯周病・むし歯・口腔カンジダ症・舌苔などが挙げられます。一方で、食生活やストレスなど、歯科とは別の分野が原因となっているものもあります。
口臭が気になる方は、まず歯科医院で検査を受け、お口の状態を把握すると良いと思います。ぜひご相談ください。