歯周病とは
歯周病とは、歯を支えている歯ぐき(歯肉)や骨が破壊される病気です。プラーク(細菌が増殖して形成するもの:歯垢)が1番の原因です。歯周病の初期症状はブラッシング時の出血程度であり、ほとんど自覚症状がありません。そのため症状を感じた時には、歯周病が進行していることもあります。
歯周病は中高年の多くの方が罹っていると言われており、歯を失う大きな原因の一つです。また、最近の研究によると、歯周病はお口の中だけでなく全身の健康にも影響するため、歯周病を事前に予防することがとても大切です。
プラーク(歯垢)とは
歯の表面、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目などに形成されるネバネバした白い塊。これをプラーク(歯垢)と呼びます。わずか1mgのプラークに、1億個以上の細菌が生息していると言われています。プラークを適切に取り除くことが歯周病予防の鍵です。
歯周病の症状と進行度
歯周病の初期は自覚症状がほとんどありません。
歯肉炎は歯肉の腫れ・出血が特徴です。歯周炎では、骨の退縮(支えの減少)により
歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が深くなり、歯肉の腫れや歯の動揺が生じます。
むし歯がなくても、歯周病が進行している場合があります。
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歯肉の出血
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歯肉の腫れ
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骨の退縮
歯周病の進行度
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歯肉炎
日本人の多くが歯肉炎に罹患していると言われています。歯ぐきが腫れて、ぶよぶよしている状態です。歯を磨いた際の刺激によって出血することもあります。
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軽度歯周炎
細菌が歯ぐきの奥へ進行すると、歯と歯肉の境目の溝(歯周ポケット)が深くなります。歯を磨いた際に出血が生じるなどの自覚症状が出てきます。
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中等度歯周炎
歯を支える歯槽骨が減少している状態です。口臭が強くなったり、噛みにくくなったり、歯がグラグラしたりするなど、はっきりとした自覚症状が出てきます。
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重度歯周炎
歯槽骨が吸収(破壊)されている状態です。痛みが激しくなったり、膿が出てきたり、強い口臭が生じたりします。抜歯をしなければならない可能性も考えられます。
歯周病の検査方法
ブローピング検査(ポケット測定、出血の有無の確認)
測定にはポケット探針という器具を用います。器具の先端は丸くなっており、歯ぐきを傷つけない構造になっています。
歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの境にある溝にポケット探針を挿入し、歯ぐきのひきしまり具合(歯の周囲の溝の深さ)や歯石の沈着状況、また挿入時の出血の有無(出血有=炎症有)を検査します。これらのほかに歯の動揺度も測定し、あわせて歯ぐきの検査としております。
口腔内写真撮影
歯ぐきの腫れている部分や磨けていない部分、磨きにくい部分を確認します。定期的に撮影することで、経年的な変化を見ていきます。
X線撮影
歯を支えている顎の骨の具合をチェックします。
歯周病の治療方法
歯周病は自覚症状が少ないまま進行する疾患です。
初期段階であっても、しっかりと対策を行うことがとても大切です。
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Step01
検査
お口の写真やX線写真の撮影、歯周ポケットの深さを調べる検査(プロービング)によって、歯周病の進行度を調べます。
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Step02
立案
検査結果をもとに、皆様と一緒に治療計画を作成します。ライフスタイルや皆様のご希望を考慮して、なるべく負担の少ない治療をご提案します。
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Step03
TBI(清掃指導)
皆様のお口の状態に合わせて、歯科衛生士が上手な歯の磨き方をアドバイスします。ご自宅で行うセルフケアの質の向上を目指します。
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Step04
スケーリング、SRP
(歯石・プラークの除去)スケーリングで表面にある歯石を優しく除去し、ルートプレーニングで歯周ポケットの深い部分や歯の根の汚れを取り除き、歯の表面をきれいにします。
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Step05
再評価
その後のStep3,4による変化を検査して更に治療が必要かどうかを判断します。セルフケアが不十分の場合は再度ご指導いたします。
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Step06
治療
再評価の結果をもとに、治療計画に沿った歯周病治療を行います。必要に応じて外科処置を行い、歯周病の改善・再発防止に努めます。
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Step07
予防
歯周病が改善した状態を維持できるように、予防を行います。定期的なメンテナンスが重要です。
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※歯周病の一番の原因は、磨き残したプラークです。まずはセルフケア(ご自身での歯磨き)がとても重要です。歯石の除去は(プロケア等)、セルフケアが改善してからが好ましいとされています。
セルフケア
歯周病予防で最も大事なことは、皆様ご自身による日々のケアです。それをセルフケアと言います。歯ブラシだけでなく、デンタルフロス・歯間ブラシ・洗口剤などを用い、お口の中を清潔に保っていくことが重要です。
スケーリング(歯石除去)
歯石は、プラークなどが唾液などの成分によって石のように硬くなったものです。歯石自体に病原性はありませんが、そこにプラークが溜まりやすくなるため、歯石の除去は歯周治療において重要です。
歯石の除去は、鋭利な器具や超音波の振動を用いて行います。そのため術中に痛みを感じることもあります(なるべく気を付けて行います)。痛みを感じたら無理せず教えてください。また、術後はそれまで歯石に隠れていた部分が露出するため、歯ぐきの形が変化したり、歯がしみることもあります。何か不安点がございましたら教えてください。
セルフケアとプロケアが大事です!
皆様の日々のお手入れ(セルフケア)と歯科医院でのメインテナンス(プロケア)、そしてご自身に適した予防法をご理解していただくことが、歯周病の予防に繋がります。是非、一緒にお口の中の健康を守っていきましょう!
再生療法
薬や人工膜を用いて、歯周病によって失われた歯周組織の再生をめざす治療法です。再生するスピードは個人差があります。治療が順調に進めば、数ヶ月~1年で新しい骨の再生が期待できます。
歯周病は予防できる疾患
歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどありません。そのため「歯のあたりが痛い」「歯を押すとグラグラする」「口臭が強くなった気がする」などの違和感がある状態は、歯周病がかなり進行しているケースが考えられます。
歯周病は進行すればするほど、歯を残すことが難しくなります。日々のセルフケアと共に、歯科医院でのメインテナンスも継続して、歯周病を防いでいきましょう。
歯周病による全身疾患リスク
歯周病菌は血流に乗って全身へ運ばれるといわれています。
また歯ぐきの炎症は全身に影響を与えます。
そのためお口の中だけでなく、全身に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
お口の中を清潔に保つことが、全身の健康を保つことに繋がります。
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糖尿病
インスリンは血糖値の上昇を抑える効果があります。しかし、歯ぐきの血管を通して、歯周病菌が侵入するとインスリンの生成が抑制されてしまい、糖尿病が悪化する可能性があります。逆に歯周病が改善すると糖尿病が改善するとも言われています。
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心臓病・動脈硬化
歯周病原因菌が心臓の血管に炎症を引き起こすと、動脈硬化を誘引すると言われています。結果的に、狭心症や心筋梗塞の発症リスクが高まるとも言われています。
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脳血管障害
歯周病菌が歯肉から血管内に入り、脳に運ばれると、脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害を起こすことがあります。特に脳梗塞に至っては、歯周病に罹患している人のほうが健康な人に比べて、2.8倍リスクが高まると言われています。
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骨粗しょう症
歯周病によって歯を失うと、噛む能力が低下します。すると、日々の食事の消化吸収率が低下し、栄養素を十分に摂取できなくなる可能性が高まります。実際にビタミンDやカルシウムが不足してしまうと、骨密度が低下し、骨粗しょう症が悪化すると言われています。
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誤嚥(ごえん)性肺炎
食べ物や異物を間違えて気管内に飲み込んだ際、歯周病菌も入り込むと、肺炎を引き起こすことがあります。高齢の方がかかりやすく、死亡率の割合も高い疾患です。予防にはお口の中を清潔に保つことも重要です。(当院では訪問診療で歯のお掃除も行っております)。
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早産・胎児の低発育
体内に入り込んだ歯周病菌が子宮の運動を活発化させることが明らかになってきました。その結果、早産や低体重児出産を引き起こすと言われています。
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メタボリックシンドローム
近年歯周病が進行している方は、メタボリックシンドロームの指標が陽性になる確率が高いことも明らかになってきました。詳しい原因は明らかになっていませんが、歯周病は肥満の原因の一つとも言われています。
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認知症
歯周病菌が歯ぐきから血管内に侵入すると、脳まで流れ着く可能性があります。状態によっては、神経細胞がダメージを受けて「脳血管性認知症」を引き起こすことがあるとも言われています。